« 明日に向かって飛べ! その2 | トップページ | こんなジュースは飲みたくない。(でも飲んだ) »

明日に向かって飛べ! その3

むきょ~、
 人がいっぱいいるよぉぉぉ~、
  おがぁぢゃぁぁぁ~ん!!!!!

なんと、
さっきまで誰もいなかった筈の地上に、
男のジャンプをいまや遅しと待ちかねる、
20人ほどのギャラリーが出現していたのだ。

ジャンプ台は、園内でも少し高台に位置しており、
遊園地のどこからでも見える。
そう、
「バンジージャンプをやろうという、バカ者がいる」
ということを見とめた園内の数少ない客が、
全員集合していたのだ。
逃げ場はなくなってしまった・・・

さらに男をおびえさせたのは、
おのれの真下に集まったギャラリーが、
あまりに小さく見えたことだ。

「人間どもが、まるでアリのようだ・・・」

ラオウ(from 北斗の拳)のような不遜な台詞が、
全く別の意味をもって、男の頭をよぎる。

男の混乱をよそに、接客係のカウントダウンが始まる。
もはや、心を整理する余裕もない。
死して屍、拾うものなし。
「3、2、1、バンジ~」
男の気持ちとは裏腹の、間の抜けた掛け声と共に
男は飛び降りた。
前もっての説明も忘れ、キョンシーのように足から飛び降り、
「あぁ・・・」
と言う、接客係の落胆の声がかすかに聞こえた・・・

 

それから後のことは、何も覚えていない。

どこからともなく湧き上がる、見知らぬ人々の拍手に、
苦笑いを浮かべる彼には、
春風がいっそう冷たく感じられるのであった。

         終

|

« 明日に向かって飛べ! その2 | トップページ | こんなジュースは飲みたくない。(でも飲んだ) »

日記・コラム・つぶやき」カテゴリの記事

コメント

コメントを書く



(ウェブ上には掲載しません)




トラックバック

この記事のトラックバックURL:
http://app.f.cocolog-nifty.com/t/trackback/198893/4858976

この記事へのトラックバック一覧です: 明日に向かって飛べ! その3:

« 明日に向かって飛べ! その2 | トップページ | こんなジュースは飲みたくない。(でも飲んだ) »