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大解説、なんちゃって其の参『猫のテブクロ』

二度あることは三度ある、週に一度の『筋少の大解説』がやってまいりましたよー。仏の顔も三度まで、「こんな解説には我慢ならん!」という方は、お気軽に異論・反論をどーぞ。“シュール”かつ“意味不明”で有名なオーケンの歌詞、みんなで議論すれば、三人寄れば文殊の知恵、とばかりに解明されるかもしれません。ただし、あんまりムキにならないよーに、お願いいたします♪

 

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『猫のテブクロ』(1989・7)

【全体のアレコレ】

前回でも書いた通り、前作を最後に三柴江戸蔵が脱退してしまいました。その理由を簡単に言えば、音楽は自己表現の手段の一つでしかなかった大槻に対して、ピアノと音楽の求道者だった三柴が、ほぼ一方的に愛想を尽かした、ということらしいです。とにかく、“天才”とまで言われるピアノの演奏技術、クラシック出身でまっとうな音楽教育を受けていた作・編曲能力、さらにその音楽的実力とは裏腹に、野武士のような風貌で時にフリチンになったりしたという、破天荒なキャラクターと、三柴が筋少において担っていた役割は相当なものだったはず。実際今でも、「三柴の抜けた筋少は筋少じゃない!」みたいなことを言う人もいるくらいで、大槻も一時は解散も考えたとか。

結局、筋少は存続するわけですが、やはり「三柴に変わる存在はない」と考えたのか、キーボーディストは補充せず、二人のギタリストを新メンバーに迎えて、以後の筋肉少女帯はギターがメインの正統派?HM/HRバンドの道を歩むのでした。

その新メンバー、まずは筋金入りのHM/HR野郎でソロ好きの目立ちたがり屋さん、元祖ビジュアル系?的ルックスのヤサ男、橘高文彦。もう一人は、ナゴム時代に筋少加入歴があり、音楽的には雑食性らしく、どっちかっつーと裏方志向の本城聡章。敢えて対照的なキャラクターのギタリストを選んだらしい。とくに橘高(←“きつたか”と読む)には三柴の代役として、音楽的なイニシアチブを取ることも期待されていたようです。

とにかく、ナゴム時代から常にメンバーチェンジを繰り返してきた筋肉少女帯ですが、こうしてついに大槻ケンヂ、内田雄一郎、太田明、橘高文彦、本城聡章と、以後長く続くメンバーが揃ったのでありました。

さてさて、そんなこんなで裏では大きな変化があったはずの今作『猫のテブクロ』ですが、一聴した感じでは前作と比べてそれほどの違和感は感じません。前作で横関氏がバリバリぎゅんぎゅんギターを弾いてくれてたおかげですね。通して聴くと、音楽的にはより多様な方向性を模索しつつも、かなりアルバム全体の流れが重視されていて、ヒジョーに上手くまとまっている印象があります。ただ、キレイにまとまりすぎて、少々インパクトに欠けているという気がしないでもありませんなー。

 

【曲解説】

1、星と黒ネコ

「とりあえずギターをポロロンポロロンと鳴らしてみました」といった感じの、曲と言って良いのかどうかもビミョーなくらいの小曲。アルバムのイントロとして、これまでの三柴のピアノソロの代わりってトコロ。

2、これでいいのだ

前の曲が途切れるように終わり、突然に始まるこの曲、僕はかなり好きです。メジャーデビュー後の曲では一番好きかも知れません。とにかくよく聴いた気がします。

どういうツテか知りませんが伊集院光による咆哮から始まり、怪しげで高揚感のあるリフ(←ロックの“決め”フレーズ)、オーケンの絶叫とまくし立てるマシンガントーク、疾走感あふれる演奏、ところどころに挿入されるキレのあるギター・カッティング(←和音をチャカチャカ弾くこと)などなど、とにかくカッコイイ!! かなりテンション上がります。そうかと思えば、突然しっとりとしたパートが現れ、筋少のお家芸、プログレ風味(←「曲の構成が凝っている」という意味で解してください)もバッチリ。

歌詞も大槻独特の個性的なものでありつつ、ムチャクチャ難解というほどでもない、絶妙なバランス。前作の名曲『いくじなし』で描かれた、人間のコミュニケーションにおけるすれ違いをより極端に、分かりやすく描いたものと言えましょう。“僕”と“恋人”との明らかにすれ違っている信頼と愛情。愛すべきか? 憎むべきか? これでいいのだ。これでいいのか?

人間関係にこんな絶望的なものを見出す人は、一生孤独感にさいなまれることでしょう。Σ( ̄ロ ̄lll)!? オレもか?!

3、日本印度化計画

一般の人が知っている筋肉少女帯の曲といえば、1番が『元祖高木ブー伝説』、その次がこの『日本印度化計画』ではないでしょうか? これってシングルでもカップリングでもないと思うんですが、なんで有名なんですかね?

それはともかく、僕としてはこの曲が筋少の代表曲として扱われるのは、少々残念であります。歌詞はあんまり深読みする必要のない大槻流バカ歌で、それはそれで筋少の魅力だと思うので良いのですが、曲が少し単調かと。

この曲、そこそこ速くて疾走感あふれる曲なのですが、前作の同じく速い曲『マタンゴ』なんかと比べてみるとどうでしょうか? 『マタンゴ』って速いくせに曲全体がリフから出来ていて、しかもそのリフがなんだか奇妙。どったんばったん高速でのた打ち回ってるような感じ。それと比べると、『印度化計画』はヒジョーに滑らかに仕上がり。なんと言いますか、『マタンゴ』には素人臭いわけ分からんパワーを感じるのです。でも、『印度化計画』にはそれがない。少なくとも僕には。

とは言え、この曲は筋少の代表曲なので、あなたの周りにもこの曲をカラオケで歌う人がいるかもしれません。もしそんな人を見かけたら、歌が終わった後「ハヤシもあるでよーっ!」と掛け声を入れてあげましょう。きっと喜んでくれますよ。

4、星の夜のボート

おそらく筋少史上初の大槻が切々と歌い上げる曲。でも、ずっとボーカルにエコーがかかってて、ナニ歌ってんだかよく分かんないんですよね。ははは。

幻想的でなかなかカッコイイ曲だと思いますが、イマイチ僕の印象に残らないのは、そのせいでしょうか?

5、Picnic at fire mountain
 (Dreams on James, You're winning)
6、
Go! Go! Go! Hiking Bus
 (Casino Royale - The Longest Day)
7、最期の遠足

この3曲は一つのテーマでつながっていて、組曲のような形になっています。遠足で7人の子供がはぐれてしまい・・・というお話。遠足シリーズ。でも、5で子供がはぐれる寸前までを描いて、6で遠足のバスなんかの話、7ではぐれた子供たちのてん末、という順番は、時間の経過が歪んでいる気がするのですが。

ちなみにこの組曲のうち、5、6は筋少としては珍しいカバー曲で、遠足気分を醸し出すかなりのほほんとした曲。( )内がその原曲のタイトルで、ここでのタイトルと歌は原曲を無視して勝手に歌詞を付けられたもの。まーオイラは原曲、知りませんが。とりあえず『The Longest ~』は実質、効果音みたいなものなので置いといて(映画の曲です)、『Dreams ~』と『Casino ~』の2曲はアメリカのポップス界の大巨匠バート・バカラックの作曲らしいです。バカラックさんは、日本人でもきっと知ってるこんな曲こんな曲を書いた、とってもエライ作曲家さん。筋少とバカラックってのはなんだか妙な取り合わせですね。7はナゴム時代にも録音されている、歴史のあるオリジナル曲。

まーいっぱい書いたんで、この3曲についてはこんなところで・・・

8、月とテブクロ

『星の夜のボート』に続き、これまた大槻が歌い上げる曲。この曲のほうが歌ははっきり聞こえますが、やっぱりどーも演奏に埋もれがちな気がするんですよねー。「オーケンは歌が下手」という話はしばしば聞きますが(一番言ってるのは本人って気もするが)、そのせいでボーカルの音を小さくしてあるんでしょうか? でも、生ではともかく、CDで聞く限りはそんなに下手だと思いませんけどね。なんたってイイお声だし。

全体としてはゆったりとした、幻想的で幽玄な趣のある曲。そんななかで、中間部にいきなりヘビメタなリフが出てくるのがカッコイイです。

ちなみにタイトルの“テブクロ”というのは手袋のことではなく、猫の名前。アルバム発表当時、若気の至りで飼い猫に“テブクロ”と名前を付けたファンが2000人ほどいたそうです(ウソ)。“ブログペット”経由でここにたどり着いた貴方、ブログペットに“テブクロ”って名付けようとしませんでしたか?

 

そういえばこのアルバム、僕が一番初めに“所有した”筋少のアルバムかもしれません。わざわざ“所有した”というのは、実は聴けなかったのです。中古で買ったんですが傷が付いてて。その悪しき思い出を引きずってるわけでもないんですが、今作は全体的に辛口っぽくなったような。やっぱり僕としては少々インパクト不足な気がするんですよねー。 まー誰にだって好き嫌いはありますから、今回はこんなもんでいいでしょう。
そうだ、これでいいのだ。
だが、しかし、
だが、しかーし!!!

 

↑なんだかんだ言いつつ、『日本印度化計画』。
 “LIVE”とか言ってますが、カラオケで口パクです。
 良い映像がなかったんだよー。(ToT )
 まー筋少のオチャメさんな一面をご覧あれ。

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コメント

「これでいいのだ」かっこいいすね。
伊集院光も好きなんで、より好き。
リフ、ってロックの決めフレーズ、って意味だったのかあ。はあ。勉強になりました。
オーケンの声は、日本でホーミーが出来る数少ない即興音楽家の巻上宏一氏も評価していらっしゃいました。
「オーケンの声はカッコいいよ。」って。
若いときの下手なオーケンの歌、好きだなー。
妙にうまくなって、聞かせ系の歌い方をする今のオーケンの歌は苦手っすよ。。。

「日本印度化計画」はバカで楽しいですね。

投稿: せこ | 2007年10月 6日 (土) 午後 02時39分

曲の中にけっこう何度も出てくる、覚えやすいフレーズみたいなのを“リフ”と言うようです。『これでいいのだ』だと最初の♪だだだーん、だだだだーん♪ってのはリフだと思います。あと、「閉じ込められていたのであったーっ」の後の♪たーらーらー、たったった、たーらーらー、たったった♪とか。分からない言葉は答えますので、どうぞお気軽に。まー分かった気になって使っておいて、よく考えると分からないってこともありますが。

オーケンの声は、ナゴムの頃のしゃくりあげるような、わざとむかつくような声にオトコ気を感じます。
巻上さんってヒカシューとか言うバンドの人でしたっけ?まだ聴いたことないんですよねー。ホーミーはちょっと聴いたことありますが。

投稿: べえし | 2007年10月 7日 (日) 午前 01時49分

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