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大解説、なんちゃって其の弐『SISTER STRAWBERRY』

さてさて、皆さんお待ちかね、“筋少の大解説”の日がやってまいりました。え? 待ってない? まーそーおっしゃらずに。今週は前置きなしに行きますよー。こちら!

Photo  

『SISTER STRAWBERRY』(1988/12)

【データと総評】←相変わらずエラそーでスミマセン・・・

シュールな写真ですね・・・。筋少メジャー2作目。前作から早くもDs、Gが脱退してしまいました。後任のDsには今後長きに渡り筋少の屋台骨を支える太田明が、Gには結局正式メンバーが決まらず、いちおうゲストという立場で横関敦が加わります。横関は“ジェットフィンガー”というちょっと恥ずかしい異名を持つ、超速弾きの実力派メタル系ギタリストで、ゲストといっても全面参加。大槻ケンヂ、内田雄一郎、三柴江戸蔵、太田明、そして横関敦と実力者が揃えば、今作の出来はもう保障されたようなモンです。大槻が歌手として実力者なのかどうかは、知りませんが・・・(まー歌手なんて音程が取れるとか、声がキレイなだけが全てじゃないですからね。僕はもちろんオーケンの歌は好きですよ)

さらにこの時、三柴は「冷めていながらもいろいろ仕切って」いて、なんだか独特の気合が入った様子だった?とか(古本屋で200円くらいで買った雑誌より)。それもそのはず、この作品を作成中から三柴は脱退を決意していたらしく、それがこの後、バンド結成以来の激震をもたらすのでありました。って本人じゃないから実際は知りませんけど。

ともかく、これはなかなかの佳作だと思われます。単に実力派のプレイヤーが集っているというだけでなく、HM/HR系(←へヴィー・メタル/ハード・ロックの意)の音楽にも関わらず全編に美しいピアノが響く、なかなか独特な音楽を作り上げています。さらには、この頃は大槻独特な感性の歌詞も冴え渡り、筋少ファンならばつい日常会話に取り入れたくなるような名文句がいっぱい。唯一難癖をつけるならば、6曲しか入ってないミニアルバムだということくらいでしょうか。それでも各曲のボリューム感は満点で、聴き終わって「6曲しか入ってないの?」という気すらします。特に『マタンゴ』『キノコパワー』、そして『いくじなし』は誰もが認める筋少を代表する曲といって良いでしょう。

【曲解説】

1、マタンゴ(←クリックすると歌詞。以下同。多少誤字有)

前作同様、静かなピアノ独奏で始まります。まー筋少のたいていのライブはピアノ独奏から始まってたそうで、定番なのかもしれませんね。そしてドカーンと本番開始。とにかく、前作と比べてそのあまりのメタルっぷりに驚かされます。かなりのハイテンポで、スラッシュメタル的“ズガガガ”ギターにバスドラの連打。失礼ながら、これは前任者では技術的に成し得なかった曲ではないでしょうか。

“マタンゴ”というのはキノコ人間が登場する同名の特撮ホラー?映画に由来すると思われます。未見なので分かりませんが、キノコ人間しか共通点はないんじゃないですかねー? 歌詞は単なる大槻のグロ趣味の現われだと思いますが、♪呪いの館には~ ♪キィ~ノコ人間 ♪タパタパタパタパ~胞子を振りまくよ! なんてのは、筋少ファンなら当然知っておくべき名(迷)文句。

2、キノコパワー

とにかく高速だった『マタンゴ』からややテンポを落とし、重厚な音を聴かせるハードロック然とした曲。間奏での三柴→横関→三柴→横関と続く怒涛の速弾き合戦で有名。でも実はオイラ、速弾きだのソロだのってあんまり興味ないんですよね。だって、素人には分かんないじゃん・・・

歌詞の内容は例によってよく分からないのですが、少々破滅的な旅立ち、というか逃避の歌でしょうか。それともラリって妙なものが見えてる人の歌か。寒々とした風景描写に蝶をからめてくるのがなかなか美しいと思います。そうかと思えば「キノコパワー!!」という、よく考えればとぼけた造語を、やけにマジメに絶叫するのが愉快。

3、夜歩く

この曲はある意味、筋少史上で特筆すべき曲です。というのも、クレジットを見るとベーシストにゲストを迎えているらしい。バンド結成以来、常に大槻と行動を共にし、技術的にも名手といっても差し支えない内田雄一郎というベーシストを擁しながら、なぜ? このゲストベーシスト塩野啓一という人は、後に“the 蟹”というユニット名で(ひでー名前・・・)三柴とアルバムを発表する人で、なんでも三柴の古い知人とか。内田よりこの人のほうが曲に合うと考えて、三柴が連れてきたのでしょうか? このあたりにも三柴のこのアルバムに対する入れ込み具合が感じられる気がするのですが、どうでしょう。

曲はそのベースのみによる5拍子のリフで始まります。確かに、内田のいかにもロック的なガリガリバリバリした音色ではなく、なんだか浮遊感を醸し出す音色。まー音色なんて何とでもなると思うけど。ハードロック的な部分もありますが、曲全体としては幻想的というかなんと言うか、とりあえずそんな感じ。

その音楽に乗せて大槻が語りたおします。前作でも大槻お得意の語りはありましたが、微妙にメロディが付いていて歌との境が曖昧だったり、分量的に少なかったりしました。でも、この曲では大槻が声を出してる、その半分くらいは完全な語り。ポップス、ロックで下手に語り部分なんかがあると、聴いてるほうまで顔を赤らめたくなってしまうことも多いですが、(当時の)大槻に関してはそんな心配は無用です。言葉の意味はよく分からんが、とにかくスゴイ怨念がこもったような言葉に、なんとなく感じ入ってしまうことでしょう。(/TДT)/なんとなくかよ! まー理解するばっかりが能じゃないですよ。多分。この詩をあえて解釈すると、死んだ恋人の幻視ってトコですか。「ファントム!」って叫びはよく考えて聞くと意味不明で失笑しそうになりそうですが、それに気付かせないほど、全体としてはクールなカッコよさにあふれています。

筋少の代表曲とは言いがたいですが、昔、僕が作った“My筋少ベストMD”には選曲された、個人的にはかなり気に入ってる曲。

4、日本の米

筋少では、大槻が曲にどんな歌詞をつけるのか、最後に歌をレコーディングするまでメンバーにはほとんど知らされず、三柴は一生懸命作ったオケ(歌なしバージョン)が完成した後、最後に大槻の詩の内容を知ると、愕然とすることもしばしばだったとか。ぎゃはは(前述の、とある雑誌より)。これはいかにもそういったエピソードを感じさせるアホアホソング。

♪コメ・コメ・コメ・コメ♪というありえないコーラスに続く、「納豆にネギを刻むと美味いんだ!!」という気迫のメッセージ。さらには、曲のバックに大槻と前ドラマー美濃介によるコント?がかぶせられます。まーこのコントは今聞くと少々寒いかも。

『キノコパワー』『夜歩く』と続いたカッコイイ流れを一発でぶち壊す、筋少きってのバカ歌。それもまたよし。

5、ララミー

ラテン音楽のような打楽器類とラッパ隊が加わった、このアルバムにおいても筋少においてもかなり異色な曲。編曲に『夜歩く』でベースを弾いていた塩野啓一が、さらに打楽器とラッパのアレンジにも専門の(?)人が参加しているようです。

ナゴム(素人)時代にも録音されていて、それと比べると「凌辱されてしまったー」というセリフや、その他一部の歌詞がちょっとだけ穏やかなセリフに改められています。

音楽的にはちょっとオシャレに(?)なったかもしれませんが、かつてのゲロかウンコのような意味不明の汚らしいインパクトが失われたのは、残念なところ。

6、いくじなし

前にも言ったとおり、僕は筋少の全ての曲を聴いているわけではありませんが、僕の知る限り、筋少の中でもっとも長尺の曲。9分12秒。長い!! これもナゴム時代から発表されていた曲ですが、それに大幅な歌詞(というか語り)が付け加えられ、倍以上の長さの曲に生まれ変わりました。そのボリューム感のみならず、詩、曲、演奏、全てにおいて筋少を代表する1曲といって差し支えないと思われる名曲。残念ながら最近発売されたベスト盤には収録されてないようですが。(古いベスト盤『筋少の大車輪』には収録されてます)

美しかったがフェティシスト(フェチの人)だった姉の死後、突然“僕”の前に現れた自称“姉の恋人”のいかにもうさん臭い男。独りよがりの正義感にあふれたような、思わせぶりなキレイ言を吐くけど実はただのアホのような、そんな男。その男と僕との、うさん臭い男にペースを握られつつ、何だかよく分からないまま幸せになってゆく僕の生活が、大槻のどこか冷めたような、皮肉に満ちたような、かなり独特な語りによって描かれます。『夜歩く』でも存分に語りまくった大槻ですが、この9分を超える曲ではさらに9割がた語りまくっています。アナタは今、親、兄弟、そして恋人に囲まれて幸せですか? カレラからアナタに注がれる愛情ってホントーのところ、いったい何なんでしょーかねぇぇぇ? というようなことが、僕が個人的に見出したこの詩のテーマなんですが、いかがなものでしょうか?

そして、その大槻の長い、ながーい語りを支えるのは、即興的な要素が強いと思われる演奏です。卓越した技術を誇る当時のメンバーが、これ見よがしに弾きまくるのではなく、あくまで曲の流れを重視した、抑揚の効いた珠玉の名演を披露していると思います。特にオイラが押したいのはベース&ドラムのリズム隊の頑張り。ベースはあくまで出しゃばることなく堅実にリズムを支え、ドラムはかなりゴチャゴチャやってます(技術的に難しいのかどうか知りませんが)。そして、この二人がいろいろ演奏パターンを変えることによって、9分にもわたる長い曲を音楽的にも飽きさせずに聴かせることが出来てるんだと思います。う~ん、渋いぜ。

余談ですが、僕が中学生の頃、同じクラスのかなりかわいいコが不意に「フェティシスト」という単語を口走ったのを、僕は聞き逃しませんでした。こんなヘンな単語を知ってるなんて、彼女も筋少を聴いているに違いない、とニヤリとしたものです。暗い青春ですね・・・

 

 

いかがでしたか? 今回は曲数も少ないし、各曲に関してかなり頑張って書いてみましたー(かなり片寄ってますが)。「そーゆー解釈は違うだろ!」みたいなご意見もそれはそれでけっこうですので、お気楽にコメントしていただければうれしいです。でもその時は、たのしく たのしく やさしくね♪の朋ちゃん精神(カムバック希望)を忘れずに。どんなものでも“絶対”なんて解釈はきっと存在しなのです。なぜならそれは、“脳髄は人間の中の迷宮であるという観点から”当然のことでしょう?・・・

↑筋肉少女帯『キノコパワー』:
 曲の完成度は上がっても、映像はやっぱりラリパッパ。

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コメント

二回目、おめでとうございます^^
「マタンゴ」に「キノコパワー」・・・題名でカブッてるし☆
「マタンゴ」は観た事あります。
映画では「呪いの館」ではなく「呪いの島」ですが。
主人公の名前、タマミだっけ?そこまで覚えてないな~

投稿: わさぴょん | 2007年9月23日 (日) 午後 06時25分

そうなんです。『ララミー』の歌詞にもキノコが出てきます。
キノコ尽くし。
おまけに『日本の米』なんで“山菜定食”といったところでしょうか?

映画『マタンゴ』は人気ある作品なんですかねー?
一度は見てみたいのですが、レンタル中が多いです。

投稿: べえし | 2007年9月24日 (月) 午前 12時37分

あああ。オーケン若いなあ。美しい・・・「俺ってカッコいいぜ」って意識してるのが鼻につきますが。
2回目、ご苦労様でした。
一番に思ったのは、「こんなに書くなんて・・・時間あるんだなあ。」ってことでした。いや文章お上手ですねえ。面白く読ませていただきました。
私は高校のとき、友達が全然いなかったんですが、友達の多い不思議ちゃん系の可憐な美少女が「人間、人間、って響きいいよねえ。」と言って同意を得られずにいるのを見逃しませんでした。「じゃあ、筋少の踊るダメ人間いいよ!あとINUのメシ食うな!にんげーん、にんげーん、って唄ってるよ!」と、薦めたかったのですが言えずじまいでした。
きのこパワーは、マジックマッシュとかベニテングとか幻覚きのこのパワー、つまりはべえしさんの推察のようにトリップ状態の幻覚をモチーフに歌にしたようです。本人が言ってました。
「夜歩く」はいいですね。
まさに浮遊感のある美しく妖しげな音楽とオーケンのつぶやくような、感情を抑えた、「もうどーでもいいよ。全部バカらしいよ。」っていう皮肉な感じの語りがたまらなく私のツボで、初めて聞いたときはセックスの絶頂にも似た(その頃は未体験ですが)興奮、恍惚、満足感、多幸感があり、ぶるぶる震えるような感動があり、死にそうでした。あまりにも良すぎるので、あまり聞かないようにしていたほどです。なんかもう、ぶっ飛ぶんですよ。
とても冷静ではいられなくて泣きそうでこわいぐらいでした。
マタンゴのノリもいくじなしのロックぶりもびっくりしたし気に入ったけど夜歩くは特別でしたね。
思い出深し。

投稿: せこ | 2007年9月26日 (水) 午後 09時56分

あんまり適当に書いて怒られるのもイヤだし、今回は好きな曲も多いし、というのももちろんあるのですが、そうなのです。ヒマなのです。悲しいかな。我ながらこんなに長い文章を書き上げると、なんだか空しくなってしまいます・・・

『夜歩く』、いいですよねー! いやー、やっぱりこのあたりの曲を知らずして筋少ファンを名乗るべからずって感じです。とかいうと最近ファンになった人からは怒られるでしょうか。

「人間」って響きがいいって言うのは、面白い感覚ですね。不思議ちゃんの美少女かー。(///∇//)ポッ 僕が思い浮かべる「人間」って歌詞が出てくる曲といえば、人間椅子の『人間椅子倶楽部』ですかねー? INUは昔持ってましたが、あんまり聴かないうちに売ってしまいました・・・

投稿: べえし | 2007年9月27日 (木) 午前 01時18分

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