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大解説、なんちゃって其の伍『月光蟲』

さてさて、すっかりお馴染みになりました名物企画、『筋少の大解説』の日曜日がやってまいりましたー。え? 名物でもなんでもないって。Σ( ̄ロ ̄lll) がーん! 譲二ショックー。おっと、オレは譲二じゃなかったぜ! しまった、しまった、島倉千代子。う~ん、チューニングボーン。まーいーや、今週は筋少の最高傑作とも言われる、これです!!

Photo  

『月光蟲』(1990.11)

【全体のアレコレ】

まー今回はホントにバンドの状況に関しては書くことありません。っつーか知らないので。バンドとしてデビュー以来、比較的順調に実績を伸ばし、今作ではけっこう好き勝手にやらせてもらったようですね。ギターの音とか相当重ねてて、凝ってるらしいです。僕には分かりませんけどね。CDも豪華に箱付きだし。

さて、『月光蟲』は筋少の最高傑作に押されることも多い、かなりの名作です。僕もその意見は否定しません。筋少を知らない人に一枚、筋少のアルバムを聴かせるとしたら、僕もこれを選ぶかなー。

とにかくカッコイイ。音楽的にはこれまでで最もHM/HR色が強く、ノリノリでフィーバー出来ること間違いなし。かといって単なるメタルに終わらず、ひねりが効いてて楽しいです。大槻の歌詞も彼お得意の怪奇趣味、美意識に彩られつつ、カッコよく仕上がってます(人によってはやはり笑っちゃうでしょうが)。さらに大槻さん、お歌が上手になりました! 『猫のテブクロ』以降、要するにギター・バンド化以降、徐々にボーカルが歌らしくなってきた筋少ですが、それに伴い、今までやや模索していたような気がしないでもなかった大槻のお歌は、ここではかなり板についてきたと思います。そんなわけで『月光蟲』、全てが素晴らしい! 非の打ち所がありません!

とこれまで思っていたのですが、ここ1ヶ月ほど筋少ばかり聴いた後、今回このアルバムを聴いて思ったのは、少々出来すぎてやしないか?ってことです。改めて「大槻の歌詞はカッコイイし、歌も上手い!」と強調しておいて、敢えて言わせて貰えば、少し大槻がバンドに染まり過ぎてる気がするのです。これまではバックが素晴らしい演奏を繰り広げていても、それを(良くも悪くも)霞ませるようなインパクトが大槻にあった気がするのですが、『月光蟲』にはそれがないような。もちろん新メンバーになって時間が経ち、バンドとしていろいろ噛み合ってきたのもあると思いますが、それとは別に、「大槻、ちょっと上手く立ち回り過ぎなんじゃねーの?」って気がするのです。

と思いながら、古本屋で200円くらいで買った当時の筋少特集のある雑誌を見てみたら、大槻、内田、太田の3人が「大槻が抑え気味で、楽器隊が好き勝手やったアルバム」と言ってました。ほらね。俺は自称・世界で8番目くらいに筋少を理解してる男。僕としてはこのアルバムあたりから、大槻の歌詞がストーリーとしてのまとまりを志向するようになり、そのせいで後にイマイチな方向に進んでいく萌芽が感じられると思います。あくまでこのアルバムの歌詞はカッコイイと思いますが(クドイ?)。ただ、これまでのように「これ!」って言う印象的な文句がない気はしますがね。

【曲解説】

1、風車男ルリヲ

1曲目から早速カッコイイ! ちょっと静かなイントロの歌の後に出て来る、7拍子で爆走するリフにしびれます。歌が始まるところから5拍子にでも変拍子したように聴こえますが、よく聴くとベースは最初の7拍子のリフをずっと弾いている。実はほぼ全て7拍子なのですが、ドラムが小細工することによってそんな風に聴こえるんですねー。

歌詞は「お前が冴えないのは風車を回す男=風車男・ルリヲのせいだ! ルリヲを殺せ!」と言うような内容。そうか! 俺もルリヲを殺さねば! そのうち「殺人犯の少年の自宅から、筋少のCDが発見されました」なんてニュースが流れないことを願います。

2、少年、グリグリメガネを拾う

『ルリヲ』の7拍子リフが突然途切れ、曲間なしでこの曲のドラムドコドコが始まる、という流れがカッコイイ。曲もリフが立っててカッコいいです。

歌詞は、少年が普段見えないものが見えてしまうグリグリメガネを拾う、とか言うもの。そのままですが。

3、デコイとクレーター

うるさい曲が2曲続いた後はしっとりと。アコースティック・ギターの響きが美しい、でも怪しげな雰囲気も持つ、なかなかの佳曲だと思います。オーケンの歌もなかなか様になってます。

間奏部分ではギターソロはもちろん、ウッチーのベースソロもあるぞ! 短いけどね。

4、サボテンとバントライン(remix)

これはシングルになったんですよね。で、remixとなっていますが、僕はこの曲のremixじゃないバージョンを知りません。ベスト盤『筋少の大水銀』には“remix”と書かれてないこの曲が収録されてますけど、これがオリジナルなんでしょか? どこが違うのか、分からないんですが。って言うか、この曲、昔からあんまり好きじゃなくて、聴いてないんですよ。

ラッパとかストリングスとか派手なオーケストラが入ってて、大槻の喋りが多いものの、曲調は結構ポップです。ポップなのは別にいいけど、歌詞が苦手。起承転結がはっきりした、明確なストーリーがあります。“バントライン”ってのは『猫のテブクロ』と同じく、これまた猫の名前。奇妙な固有名詞、明確なストーリー。僕にとっては今後の嫌な方向性を明確に感じるのです、残念ながら。好きな人、スマソ。

5、夜歩くプラネタリウム人間

いろいろ変拍子を繰り返しながらも、基本的に5拍子の曲で、さらにこのタイトルと来れば、これは『Sister Strawberry』収録の『夜歩く』の続編と言っても良いのではないでしょうか。『夜歩く』もカッコよかったけど、こっちもなかなか良い出来です。

ファンク、プログレ、そしてもちろんハードロックと、音楽としてかなりいろんなものが詰め込まれた、凝った曲だと思いますが、特筆すべきは男女のデュエットになってることですね。オペラ風?の高音ボイスを披露するのは久保田安紀(くぼたあき/aki)と言う人。筋少は昔からこの人のコーラスをたびたび使ってたんですが、これがなかなか良いんですよねー。今まで書かなかったけど、筋少の曲ではこのオペラ風女声コーラスと野太いデス声男声コーラスの絡みが、昔からいい味出してました。

6、僕の宗教へようこそ(Welcome to my religion)

ドッタンバッタンした奇妙なノリが印象的な、面白い曲です。ともすれば、ナゴムの頃を思い起こしてもおかしくないのですが、そうならないのは演奏がこなれてるからでしょうか。これって良いのか、悪いのか。いや、好きなんですけどね、この曲。

ところでこの曲、何で英語のサブタイトルみたいなのをつける必要があったんでしょ? そのまんまじゃねぇか!

7、悲しきダメ人間

大昔のジャズ調?の少しとぼけた味わいのある短い曲。このアルバムで唯一の箸休め的曲でしょうか。でもこういう引き出しがあるところが、流石だと思いますね。ただのロック馬鹿じゃないぞって感じです。

8、少女の王国

『デコイとクレーター』はしっとりとしながらもどこか怪しげな曲でしたが、この今日はストレートにしっとりしてます。ところどころにいかにも橘高なギターがギュインギュイン来ますが。あんまり感想書かないとダメな曲みたいですが、なかなかいい曲だと思いますよ。

9、イワンのばか

橘高の好みがよく出た、非常にヘビメタな速い曲で、ファンの間でもかなり人気の高い曲。確かにカッコいい曲であることは否定しませんが、僕としては数ある他の名曲を差し置いて、この曲がトップクラスの人気を誇るのは少々不本意であります。まー筋少ファンにはメタル好きも多いので、仕方ないのかもしれませんね・・・

まー何度も言いますが、否定してるんじゃありません。僕もこの曲は好きです。特に初っ端の速弾きギターはカッコイイですねー。最後の「イワンのっ、ばかあー!!」って絶叫もバカバカしくてグー。

10、少女王国の崩壊

アルバムラストを飾るのは、なぜかまったり印度な?雰囲気を醸し出す、怪しげな歌なし曲。大槻はおろか内田も参加せず、主に作曲した太田とアルバムプロデューサー・岡野ハジメ氏によって録音されたようです。

この曲だけをわざわざ聴こうという気にはなりませんが、なかなか渋いイイ曲だと思います。中間部でガラッと雰囲気が変わって、叙情的なギターソロが入るのも、なかなかイイよね。

 

ああ、1週間休むと書き方忘れるって言うか、なんだか大変でした。文章にもそういうのが表れてるような。全体的に否定的なことを多く書いた気がしますが、何度も言うように僕もこのアルバムはカッコイイと思ってるし、もちろん好きなのです。

ただね、ネットとかでいろんな人の筋少評を読んだりすると、納得できない場合が多いんです。そんなわけで一石を投じたいって言うか、ウップン溜まってるっていうか、まー筋少に対する愛が高じて、今までもいろいろとやや挑戦的に?書いてしまいました。なにぶん、筋少に対する愛情あってのことですので、気を悪くされた方は、どうかお許しくだされ。

ま、ついでに言わせて貰えば、「よく分からん」と言われる大槻の歌詞、今までいくつか歌詞の解釈を書いといてなんですが、そもそも意味なんてあるんですかね? 思うに、大槻って幼い頃から培ってきた、劣等感やヒネクレ根性、その他アングラ趣味の貯金で、けっこう思いつきでテキトーに歌詞を書いてる気がするんですが、どうでしょう? そりゃ、多少は考えて書いてるかもしれませんが、7割から8割はひらめきなのでは? でも、だからと言って、大槻の歌詞がショーモナイわけじゃなくて、だからこそ切実というか本能的というか、心を打つものがあると思うのです。まーある意味で天才的といいますか。当時はね、当時は。でも、最近はどーなんでしょーかねー。

まー今回はこんなところで。最後は、最近知ったカッコイイこの言葉で締めくくりたいと思います。

天才とは僅かに我我と一歩を隔てたもののことである。同時代は常にこの一歩の千里であることを理解しない。後代は又この千里の一歩であることに盲目である。同時代はその為に天才を殺した。後代は又その為に天才の前に香を焚いている。

 又

民衆も天才を認めることに吝か(やぶさか)であるとは信じ難い。しかしその認めかたは常に頗る(すこぶる)滑稽である。 (『侏儒の言葉』芥川龍之介)

あーそうそう、言い忘れてましたが、『筋少の大解説』は今回が最終回でした。はっはっは。これ以降のアルバムは『エリーゼのために』しかもってないんだもーん。お後がよろしいようでー。(`∇´)

 

↑『夜歩くプラネタリウム人間』。渋い選曲だぜ。
 ちゃんとデュエットしてます。
 イントロのギターがカッコイイ!

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コメント

なぜか「ダメ人間」だけ聞いた事あります。
サビしか覚えてないけど忘れられなくて(矛盾)、けっこう好きです。

7拍子、5拍子の曲なんて聴いたことないなー。どんなだろ?
でも、いい感じそう♪
こないだ運動会で「5・5・2・2・5」のリズムでの応援(大太鼓)を聞いたのですが
それが妙にカッコよかったんで^^

投稿: わさぴょん | 2007年10月21日 (日) 午後 02時49分

『筋少の大解説』に最後までお付き合い頂き、ありがとうございます。(≧▽≦;) いや~、ホントにありがたい。

忘れられないサビというのは、もしや♪ダ~メダメダメダメ人間、ダ~メ!(←掛け声)♪というヤツでしょうか。
もしそうなら、それは今回解説した曲ではなく、次のアルバム『断罪!断罪!また断罪!!』収録の『踊るダメ人間』という曲なのです。この曲はシングルにもなってて、ちょっとは知名度があると思われます。

7拍子の曲はちょっと良い例が思いつかないのですが、5拍子というのは今回おまけに付けた動画『夜歩くプラネタリウム人間』のギターが♪チャッチャッ、チャッチャッチャラー♪とかいうイントロ(ここは3拍子かな? よー分からん)のあとに、歌が入ってくるあたりが5拍子になっています。(サビは4拍子)
映画好きのわさぴょんさんには、『マルサの女』のテーマ曲、と言ったほうが分かりやすいでしょうか? あの曲は5拍子になっています。
5拍子や7拍子の曲はなんだかノリにくくて、モヤモヤする感じが面白いです。
太鼓ってカッコイイですねー。僕もドラマーになりたいものです。

投稿: べえし | 2007年10月22日 (月) 午前 12時32分

「ダーメダメダメダメ人間、ダーメにんげ~ん、にんげ~ん♪」ってやつなんで
「踊るダメ人間」の方か~。
ジャズ調と書いてあるので「そうだっけ?」と疑問には思ったんですが、
やはり違ったんですね★

『夜歩くプラ~』の動画を見てみましたが
5拍子なのかな?よく分かりません(-_-;)
マルサの女のテーマも思い出せず。

歌詞の意味、あるのかもしれないし、ないのかもしれない。
スターリンの歌詞だって(メジャーデビューしてからは)
ふざけたのが多かったし。
奇をてらって騒がれたいだけだろ!みたいな。

「筋少の大解説」お疲れ様でした^^


投稿: わさぴょん | 2007年10月23日 (火) 午後 06時25分

やっぱり違いましたかー。
ちなみに、あの曲に対する僕の評価はビミョーです。

マルサの女のテーマはこちら→http://www.ongen.net/search_detail_album/album_id/al0000003023/で視聴できると思います。中途半端なので思い出せるか、これまたビミョーですが。1,2,3,4,5と数えながら聴いてみてください。

スターリンは安っぽいベスト盤を持ってます。どれがメジャーの曲で、どれがインディーズの曲なのか、さっぱり分かりませんが。吐き気がするほどロマンチックだぜ!

『大解説』はここらがちょうど潮時ですね・・・。まー続けようもないんですが。

投稿: べえし | 2007年10月24日 (水) 午前 01時06分

お疲れ様でしたー。
なるほどなー。って開眼ってほどでもないですが解釈や感じ方の違いを聞くのは(読んでるけど)面白いですね。
この動画のオーケンの服かわいい(^▽^)
アキさんの歌声は迫力、存在感あってセクシーで良いなあ。
オーケンのへんてこな歌詞、猫を待ち針で刺すとかアンテナの下で踊り続けなさいとかなんか後年わかったけどいろんな映画や小説や詩がヒントになってるみたいですねえ。
昔は「こんなの初めて聞いた!オーケンってすごい!全部彼の頭でゼロから出来たんだ!」って思ってて元ネタをいろいろ知って
「あーなんだー」
って一時はちょっとがっかりしたりしたけども、またその後に
「でもそれをもとに考えたストーリーや元ネタ同士のつなげ方なんかはオーケン独自のものだ。」
って思ってやっぱりすばらしい才能だし自分にはビリビリくるものがある感性であることにまちがいなくて、
「やっぱり好きだなあ。ありがたいなあ。」
と思ってます。
最近の「踊る赤ちゃん人間」とか「綿いっぱいの愛を」とか「人間として軸がぶれている」なんかは小手先っぽいというかなんか「こういうの作ればいいんでしょ?」ってルーチンワークで出来たもののように感じられてピンと来ないんですけどね。歌い方も妙に上手くて癖がなくて苦手っす。

まあ、変わっていきますよね・・・

投稿: seko | 2007年10月27日 (土) 午後 08時18分

これまた、最後までお付き合い、ありがとうございました。

まぁせこさんとは、男女の違いもあり、オーケンへの愛情にかなり温度差があるんでしょうねー。何だかんだ言って、せこさんは後期筋少からそれ以降のオーケン関係まで、かなり聴いてらっしゃるようですが、僕は『UFOと恋人』を最後に筋少は全く聴いてないし、あとは電車と特撮とUGSをほんのちょこっと聴いてるだけだし。空手バカボンなんかもイマイチ楽しめなかったのです。

僕の中で3大作詞家といえば、井上陽水、たま、そしてオーケンなのですが、この中ではオーケンのみ、かなり元ネタがわかりやすい言葉を多く使います。でもだからと言って、オーケンが他と比べて劣ってるとかは思いません。僕にとって一番印象に残る詞を書いたのは、オーケンですからね。やっぱりオーケンは天才だったと思います。天才“だった”と。
まー人は変わっていきますからね。成長するにしろ、退化するにしろ。

投稿: べえし | 2007年10月27日 (土) 午後 11時34分

趣味が合いますね!
私信ですが井上陽水とたま、オーケンの詩、私大好きです。(でした)あとカステラとかねほかにもいろいろいますが。
みんなばっちりがっつりどっぷりはまってます。陽水だとだめなメロンとか東へ西へとかMYHOUSEとかしびれた。ほかにもいっぱいあるけど。たまとオーケンは自分のブログで書いてるから良いか。
お邪魔しましたー。

投稿: せこ | 2007年10月28日 (日) 午前 11時44分

まー井上陽水は言うほど聴いてないのですが。
でも『東へ西へ』はカッコイイですね!!
あの曲だけでも3大作詞家に入る資格は十分です。
あとは筋少もやってた『氷の世界』とか。
『だめなメロン』とか『MYHOUSE』って曲は知りません。
心に留めておきます。

それにしても、カステラ!
懐かしい名前。
と言ってもテレビで1度くらいしか見たことなくて、
その時「なかなかいいじゃん」と思ったものの、
貧しいこづかい生活の僕は
結局当時CDを聴くことがなかったのでした。
そして今も。
今探せば、500円くらいで手に入りますかねー?
こちらも覚えておきます。

投稿: べえし | 2007年10月29日 (月) 午前 01時28分

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